でいちゅうのはす

ワナビーの随想めいた日記のようななにか

3月13日『葬送のフリーレン』が面白い。読み返すたびに涙腺にジワジワ来る


Webサンデー公式

 

 物語の始まりは、冒険の終わりから

 

 格好いい公式PVにもあるように、この漫画の物語は、魔王を倒し、平和になって、魔王を倒した勇者ヒンメルも老いて死んだところから始まる。

物語の主人公は、勇者の仲間だった長寿のエルフ、フリーレン。長い時間を生きる彼女は、時間感覚が人間とは違いすぎて、人の心がわからないと自ら言う。

そんな彼女がかつての冒険の旅を追憶し重ねていくのが、この物語の骨子だ。

とぼけたことをやっていても、どこかもの悲しさが漂うのがこの漫画の持ち味だと思う。読み味は『キノの旅』に近いと感じた。

2021年漫画大賞では二次ノミネート10作品のうちの1つに選ばれている。

 

葬送のフリーレン
少年サンデーコミックス
山田 鐘人 (原著), アベ ツカサ (イラスト)

 

 

 

原作は山田鐘人(名無しは一体誰でしょう?/ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア) 

 

原作は山田鐘人氏。なろうっぽいという感想をよく目にするけれど、なろうとは特につながりは見当たらない。

 

サンデーのWeb漫画サイトで連載されていた、記憶喪失から始まるサスペンス 「名無しは一体誰でしょう?」の原作が初連載だ。

 

まったくジャンルが違うけれど、「名無し」も面白かった。異なるジャンルでも上手に物語を作ることができる人は、力量が高いというし、経験的にそれは正しいと思う。だから「フリーレン」の今後も期待できる。 

 

  5巻完結

 

「ぼっち博士とロボット少女の絶望的ユートピア」は山田鐘人氏の単独作品。フリーレンから逆にたどっていって読んだけれど、「フリーレン」の雰囲気に通じるものがある。通底するもの悲しさと、クスリと笑えるエピソード、心にガツンとくるセリフ。

 

僕が好きなのは「空白の間のコマ」だ。セリフの無い、絵だけのコマ。風景、遠景、後ろ姿、表情の見えない横顔・・・など画面の切り取り方、間のとり方がとてもうまくて、上質な映画を見ているような感じがする。読者の想像力を掻き立てる役割も果たしていると思う。

そしてこの「空白の間のコマ」は、パワーアップして「フリーレン」に引き継がれている。

 

 2巻完結

 

イラストはアベツカサ 印象に残る一枚絵

 

さっき「空白の間のコマ」が良いと述べたけれど、その「絵だけでセリフの無いコマ」のパワーを底上げしているのが、綺麗なイラストと練られた構図だ。

 

そのおかげで登場人物の感情表現は絵だけで伝わるし、「決めゴマ」は整った一枚絵を見るようで印象的。流星群の空を仲間たちと仰ぐシーン、勇者ヒンメルの葬儀に立ち会ったフリーレンが涙をこぼすシーン。「じゃあ私もそうするとするかな」のシーン。言葉数は少ないのに、印象に残る。

 

ネットで探してもアベ氏のバックボーン情報は見つからなかったけれど、美大出身なのかな・・・などと邪推してしまう。

 

山田氏とアベ氏、どちらが構図を決めているのか作業分担は外からではわからない。でも扉絵はイラスト担当のアベツカサ氏が構図を決めていると推察できる。とすると、コマの優れた構図はアベ氏の力も大きそうだ。

 

 

 ナイスタッグで送られる『葬送のフリーレン』

 山田氏とアベ氏がいい感じで相乗効果を発揮している『葬送のフリーレン』。このふたりを組ませた名も知らぬ編集さんにありがとうと言いたい。

 

とにかくこの作品は貴方の心に涙腺に、じんとくるのでおすすめできる。

 

ちなみに僕はいい大人のくせに3回読み返して3度とも泣いた。PV見ても泣いた。あれっ、ここまで書いてきてようやく気づいたけど、僕がひょっとして情緒不安定なのかな?(知らんがな)

 

 

 

葬送のフリーレン
少年サンデーコミックス
山田 鐘人 (原著), アベ ツカサ (イラスト)

4巻がもうすぐ発売(3月17日(水))